林林と絵本

父さんの手紙はぜんぶおぼえた

作:タミ・シェム=トヴ   

リーネケ。

それは少女のほんとうの名前ではありません。

ユダヤ人であることを隠すため、

ナチスから逃れるため、つけられた名前でした。

父は高名な学者で地下抵抗運動の一員。

手紙の交換は命がけです。

戦争がおわって、焼却したはずの手紙が

土の中から出てきました。

善き人が命がけで守ってくれたのです。

未来の見えない苦境の中で書いた手紙

そこには、必死で生きのびようとする

人間の強さがありました。

 

 

「父さんの手紙はぜんぶおぼえた」

 

 

「父さんの手紙はぜんぶおぼえた」

出版社:岩波書店   初版:2011年10月   参考価格:2,205円

きれいな絵なんかなかった

作:アニタ・ローベル   

絵本作家アニタ・ローベルの戦争の記憶です。

アニタはポーランドに暮らすユダヤ人一家でした。

5歳で戦争が始まります。

ユダヤ人であることを隠しながらの逃亡生活。

それでもアニタと弟は強制収容所へ入れられます。

そこから奇跡的に生き残ったアニタの体験は、壮絶です。

死の恐怖に怯えた5年間

人間として全否定された5年間

二度と繰り返してはいけない、

強く思いました。

 

 

アニタ・ローベル  「きれいな絵なんかなかった」

出版社:ポプラ社   初版:2002年11月   参考価格:1,680円

てっぽうをもったキジムナー

作:田島征彦   

戦争は終わりました。

戦争は終わったのに、

てっぽうを持ったキジムナーは

「てんのうばんざい」と言って死にました。

戦争は終わったのに、沖縄はアメリカのものでした。

戦争は終わりました。

でも、沖縄のひとたちの戦いは

まだ終わっていません。

怒りから祈りへ、

真の平和への祈りです。

 

 

田島征彦  「てっぽうをもったキジムナー」

 

 

田島征彦  「てっぽうをもったキジムナー」

出版社:童心社   初版:1996年6月   参考価格:1,575円

海辺のずかん

作:松岡達英   

魚の名前はもちろん、

キャンプ道具の説明や箱めがねの作り方、

種類に合わせた釣りの方法から調理法まで

海・海・海!

これさえあれば無人島でも大丈夫。

図鑑というよりも

父と息子の夏の友情物語です。

 

 

松岡達英  「海辺のずかん」

 

 

松岡達英  「海辺のずかん」

出版社:福音館書店   初版:1983年5月   参考価格:1,470円

ごみ水路水族館

作:武田晋一   絵:ボコヤマクリタ

住宅街を流れるゴミだらけの水路

そこにも多種多様の生物がいます。

生活の変化による環境の変化

環境と密接する生態系

あらゆる角度から探究心をそそられます。

まずは身近なものから観察する

科学者への第一歩です。

 

 

ごみ水路水族館

 

 

ごみ水路水族館

出版社:偕成社   初版:2011年3月   参考価格:1,680円

 
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