狐にそそのかされるまま、

仔牛は公爵の別荘に忍び込んで、立派な黒葡萄を盗み食い。

でも、だれも怒ったりしませんでしたよ。

公爵はとても心の優しい人でした。そしてその子どもたちも。

狐や仔牛が、ほんとうは悪い心でないことを

知っていたのでしょう。

 

 

宮沢賢治  「黒葡萄」