サンマの味を思い出しては、うっとりする。

骨だけになってしまった魚。

魚の骨は、

どこかの玄関先で、

どこかの草むらで、

どこかの遠い浜辺で、

いつもそこにいたような気がする。

すべてのものに物語があった。

そして、焼かれた魚に、うっとりする。

 

 

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小熊秀雄 「焼かれた魚」